4階にあるのは「板場」と呼ばれる、昔ながらの型友禅の作業場。板に貼りつけた生地に、型 を乗せ、その上から染料を染めていく。何枚もの型を重ねるが、1色ずつ染めるため、頭上に 板を収納して乾かす時間をとる。扇風機やドライヤーを活用することも。 ラジオが流れる中、職人さんが黙々と板を上げ下ろし、作業を続けていた。
・・・・・ つづいて地下1階へ。
地下1階は、先々代からのこされている型置き場になっている。「これでもかなり処分しまし た」というが、すごい点数。色糊は数か月保存される。
・・・・・ そして、1階。
「絵の具場」と呼ばれる染料の調色を担当するのは一ノ宮生子さん。そもそも染めに使う色 は、多色の染料を調合してつくられるもの。高速で高精度に染料を調合できる機械もかなり 前から導入されているが、手作業による調色も並行して行っている。これまでの膨大な色見 本や、作業の進捗も手書きが基本。 また1階には、生地の地模様となる柄を染める捺染のスペースも。生地をピンと張るために伸 子張りという、竹ひごに針をつけた用具を使っているが、この道具をつくる職人はもういな いという。
・・・・・ そして、3階。
池田染工では、2017年からインクジェット機を導入。そのためのデータルームと巨大なプリ ンターが3階に置かれている。が、機械とパソコンという風景なので、プリンタルームの外側 ばかりを撮影した。空いたスペースで使った型を乾かしてもいるが、いずれは体験教室など のスペースに活用できたらという。
・・・・・ さいごに、2階を。
2階には、16mの生地×10枚を張って作業できる巨大な回転台が。板を上げ下ろしする必要が なく、作業がすめば台を回転させて、次々と次の生地を染めていく。生地の地模様となる柄 を染める捺染の工程。手の早い職人さんともなれば、ひとりで2台の回転台を使って作業でき るそう。
・・・・・
昭和13年創業。型友禅の技法を用いて、さまざまな友禅着物を手がける。生地の染色加工、 本仕立て前の仮絵羽まで手がける。
●京都市右京区西院西平町19
STUDIO
TEXT BY ATSUSHI TAKEUCHI
PHOTOGRAPHS BY SHUNSUKE KANOU
20.01.16 THU 17:27