2016年12月に「Kougei now」と題し、「京焼・清水焼」「丹後テキスタイル」「道具・材料」の3つをテーマにした、伝統工芸の産地サミットが開催された。サミットのキーワードとなったは「未来志向」。各分野の作り手に加え、商品企画や流通、販売のエキスパートや、デザイナー、公職者などが参加して、産地の現状と将来を見つめ直し、次世代のものづくりの指針を探った。それぞれのサミットを記録した動画とリーフレットおよび「Kougei now」全体の公式パンフレットを、ここに公開する。
※ダウンロードはこちら。
「Kougei now」公式パンフレット
「Kougei now」リーフレット(京焼・清水焼)
「Kougei now」リーフレット(丹後テキスタイル)
「Kougei now」リーフレット(道具・材料)
京焼・清水焼サミット
2016年12月8日13:00~19:00|場所:京都府立陶工高等技術専門校
Kougei Now Film:01「京焼・清水焼サミット」
様々なニーズに応えることで技術を育ててきた「京都のやきもの」。
使い手と作り手と売り手が交わることで未来の商流が生まれる。
流通構造の変化は、工芸品の販売事情も大きく変えた。とくに、日常生活に近い陶磁器分野ではめまぐるしく変わる消費動向に対応する必要があり、作り手や卸業、小売業など製造販売に関わるすべての関係者がともに方策を模索することが求められる。
また、近年では各地でクラフトフェアなどが盛んになったことで、作り手自らが企画や販売に携わる機会も増えた。販路開拓の道を海外に求める作り手も多く、これまでの方法だけでは解決できない課題が山積している。本サミットでは、京都市・瀬戸市で事業をおこなう陶磁器製造業者と製造卸商社に加えて、商品企画や流通・販売について多くの経験を持つディレクターとプロデューサーを交えて議論をおこなった。事例をもとにした意見交換に、作り手と売り場の新しい可能性が垣間見えた。
丹後テキスタイルサミット
2016年12月18日10:00~17:00|場所:オカモノヤシキ
Kougei Now Film:02「丹後テキスタイルサミット」
国内最大級の織物産地「丹後」。
地域の未来づくりが丹後ちりめんを世界ブランドに変える。
丹後地域では伝統的な丹後ちりめんの製法に加え、和装・洋装を問わず各方面から寄せられる多彩な要望に応えるために日々新しい技術が生み出されている。世界でも屈指の織物産地として内外から注目を集める丹後だが、技術力だけでは突破できない壁がある。地域に根ざして発展したその成り立ちから、持続的な発展を目指すためには地域文化や暮らしに寄り添う販売戦略が不可欠なのだ。
本サミットでは、丹後で精力的な活動を展開する織物業者に加え、地域に暮らすさまざまな立場の人々を交え、「理想の丹後」を探ることから議論が始まった。観光や教育、食文化にまでおよんだ熱の込もった議論は、織物産業のみならず丹後地域の未来像を鮮やかに描いた。
道具・材料サミット
2016年12月22日 14:00~18:00|場所:京都リサーチパーク
Kougei Now Film:03「道具・材料サミット」
伝統工芸を作るための「道具・材料」は危機的状況にある。
漆芸文化と和蝋燭の原料「櫨蝋」に焦点を当て、手仕事の未来をつなぐ。
手仕事に不可欠な道具・材料の生産が危ぶまれている。天然材料の枯渇や後継者問題、安価な代用品の台頭などを理由にいくつもの素材が姿を消そうとしており、それは伝統的な工芸技術の継承が不可能になることを意味している。
本サミットでは、漆芸を支える「漆刷毛」「漆掻き」「漆精製・調合」と、和蝋燭の原材料となる「櫨蝋」に焦点を当て、それぞれの製作に従事する職人が現状を報告し、課題事例を共有し合った。いずれの職人も、工芸界の川上に位置する「縁の下の力持ち」であり、これまでその製作状況や仕事風景が公開されることはほとんどなかった。会場には道具・材料の使い手である工芸の職人も多く参加してディスカッションに加わり作り手と使い手の活発な意見交換がおこなわれた。
※ダウンロードはこちら。
「Kougei now」公式パンフレット
「Kougei now」リーフレット(京焼・清水焼)
「Kougei now」リーフレット(丹後テキスタイル)
「Kougei now」リーフレット(道具・材料)
OTHER
TEXT BY YUJI YONEHARA
PHOTOGRAPHS BY MAKOTO ITO
17.05.12 FRI 16:29