―こちらで働くことになった経緯を教えてください。
高本:21歳から働きはじめて5年目です。伝統工芸の専門学校を卒業して、最初はここ俊山窯と瑞光窯を週3日ずつ掛け持ちで1年くらい働いて、その次の年から俊山窯の社員になりました。最初はアルバイトだったので、掛け持ちしないと生活できなくて。その分、瑞光窯では陶芸体験の手伝いや絵付をやって、俊山窯では成形をやっていたので、1年間いろんなことができていい経験になりました。
―学校を卒業するとき、将来のことはどう考えてましたか。
高本:独立とかは考えてませんでした。学校ではほんとに好きなことしかやってこなかったので、陶芸の基礎をすっ飛ばしてました。だから、とりあえず働いて、仕事としてやっていればできることがどんどん増えていくので。仕事だから中途半端なことはできないというのもありますけど、やるべきことの幅が広くて、年々まかせてもらえることも増えているので、まだまだ学ぶことはたくさんありそうです。
―学校で学ぶのとはまた違いますか。
高本:学校では100%いいものをつくることばかり考えて、ひたすら丁寧にやってましたけど、仕事になると効率やスピードのことも考えないといけません。森さんにも「手を早くしていけ」と言われて、結果的にはその方がクオリティも上がってきました。生産性が上がると自分の作品をつくるときにも、1つの値段を下げることができるんですよ。もたもたとして、1時間で2~3つしかつくれなかったのが、5つ、7つとなってくれば、単価も下げられるので。
―仕事と自身の作品づくりを並行されてるんですね。
高本:そうです。終業後はここも使わせてもらいますし、森さんから公募展とかを勧めてもらったりもしながら、自然に制作を継続しています。
―いつかは独立を考えていますか。
高本:作家一本で好きなことをやるよりは、どこかでは働き続けたいと思ってるんです。まだ5年しか働いてませんけど、自分の好きなものをつくることと働くことを両立しながら生活していけたら。今のところはそんな展望です。
―かつての同級生には独立している人もいますよね。
高本:います。すごいなとも思うけど、大変さもあるやろうなって。作家として独立したら自分ですべてをやらないといけないから、作品づくりに没頭できるのかなという心配があります。生活のために、売れるものをつくらなければいけないだろうし。と思えば、働きながら自分の100%好きなものをつくったほうがいいなって。自分の作風を思えば、量産してたくさん売れるものでもないなという気持ちもあります。
―独立する方がむしろ好き勝手できなくなりそうだと。高本さんの周りではそう判断している人も多いでしょうか。
高本:そうですね。私が知っている範囲では、大学で助手をしたり、研究所で働きながら制作をしてるという人もいます。独立して活動している人は、実際のところはわかりませんけど、すごく忙しそうに見えます。お金の管理のこととかも考えると、私にはちょっとむずかしい(笑)。
―同僚や友人にそうした相談をすることはありますか。
高本:あまり仕事の話はしないですね。制作のことは、殻にこもって黙々とやるタイプやと思います。今年(2020年)は、ようやく家にも窯を買えたし、若手の職人が集まる(京の伝統産業)わかば会にも入って、他の分野の作家さんと話す機会が増えました。どうやって生活していくのかという話とかも聞けて、大きく前に進んだなと思える1年でした。
※俊山窯を主宰する森俊次さんにも話を聞いています。
「<ネクストジェネレーション>森俊山の森俊次さんが考える、次の世代のこと」
INTERVIEW
21.02.12 FRI 12:05