TOP CRAFTS NOW STUDIO 編集部・崎川の工芸体験 vol.1 光峯錦織工房「機織体験」

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編集部・崎川の工芸体験 vol.1 光峯錦織工房「機織体験」

編集部最年少の崎川が様々な職人技に挑戦するシリーズ第一弾は「機織り」です。今回は織物の最高峰である錦織を継承する織物美術家・龍村光峯(こうほう)さんの工房を訪れました。

光峯錦織工房「機織体験」
【所要時間】30分
【料金】1500円(税込)
【予約】要/1名〜OK

平織り体験中の編集部・崎川。「機織り」はもちろん初体験!

平織り体験中の編集部・崎川。「機織り」はもちろん初体験!

 

今回は一番シンプルな平織りでコースター作りに挑戦します。教えてくださるのは、光峯さんの長男で後継の龍村周(あまね)さんです。完成の見本を見せてもらい、11種類から好きな糸を選ぶと、次は早速織っていきます。最初は龍村さんがお手本を見せてくれます。

平織りの仕方を教えてくれる龍村周さん。体験中ずっと丁寧に教えてくださるので安心して作業ができます。

平織りの仕方を教えてくれる龍村周さん。体験中ずっと丁寧に教えてくださるので安心して作業ができます。

 

繊細な織機を華麗な手つきで扱う龍村さん。「どのくらいの力加減でやればいいのですか?」と聞くと「とん♪とん♪と言う感じです」と独特のリズムを教えてくれました。なかには力みすぎて、機械を壊してしまう人もいるというので要注意。力を抜いて、「とん♪とん♪」と優しく織っていきましょう。

最初は白く細い糸を織り、次に自分の選んだ糸を織っていく。これを折るときは最初の白い糸より少しだけ強めに引っぱるといいそう

最初は白く細い糸を織り、次に自分の選んだ糸を織っていく。これを折るときは最初の白い糸より少しだけ強めに引っぱるといいそう

 

職人さんたちはこの一連の作業をずっと一定の力でやっているみたいです。ずっと一定って一番難しいですよね。私にはこの作業が向いていたようで、5分もすれば慣れました。取材を忘れ、無心で集中。

作業の様子。最初は難しくても、だんだんと慣れてくるはず

作業の様子。最初は難しくても、だんだんと慣れてくるはず

 

「とん♪とん♪」作業中無心で唱え続けていると、不思議と気持ちが落ち着いてきます。

突然ですが、家でボーっと過ごしてしまった1日の終わり、「一体に私の今日は何だったのだろう」と急に罪悪感と不安に襲われることってありませんか? そんなとき、家に織機があったら、織りながら無心になることができ、「今日はなんて生産的な良い1日だったんだろう」と気持ちを切り替えることができそうです。

完成したコースターとともに記念写真

完成したコースターとともに記念写真

 

今回作るのは、小さなコースターだったので20分もすれば完成。一見、上手くできているように見えますが1カ所経糸(たていと)を取り損ねてボコっとなっています。ちょうどこの部分を織っている時、一緒に取材に来ていた編集部員に話しかけられたのを思い出しました。心の乱れが作品に現れるなんて……まだまだ修行が必要!?

でも、このボコっとなった部分。考え方によっては、これこそが私が織った証拠と言うことができるのかもしれません。大満足です。

錦の伝統織物について説明する周さん。実物の錦織は見る角度によって柄の表情を変えたり、色を浮き上がらせたりと、立体的な魅力がありました

錦の伝統織物について説明する周さん。実物の錦織は見る角度によって柄の表情を変えたり、色を浮き上がらせたりと、立体的な魅力がありました

 

ちなみに、この工房では今回の平織りとプロの職人さんが使う高機(たかばた)を使って織る二種類の体験ができます。踏木が2本から3本に増えて難易度が高いのですが、挑戦してみたくなりました。ほかにも錦地(綾織り)を織る体験や箔を織ってみる体験、錦織を使ってアクセサリーを作る体験もあるそうです。光峯錦織工房見学のみもできるので、ホームページをチェックしてみてください。

そして「織物文化サロン」というイベントも行われています。職人さんや織物と関係の深い方からそれぞれのお仕事、特徴、技術、歴史のお話を聞きつつ、交流を深めていくことができるのでこちらもぜひチェックしてみてください。

「高機」と呼ばれる難易度の高い手織り機。とても大きく、身長150cm未満の私は、足を踏木に伸ばすので精一杯!

「高機」と呼ばれる難易度の高い手織り機。とても大きく、身長150cm未満の私は、足を踏木に伸ばすので精一杯!

 

いかがでしたでしょうか? 心落ち着く機織体験。ぜひあなたも挑戦してみてください。

次回は「京菓子づくり」を体験したいと思います。楽しみです!

光峯錦織工房
住所:京都府京都市北区紫竹下ノ岸町25
Tel:075-492-7275
HP : www.koho-nishiki.com

STUDIO

TEXT BY MARIE SAKIKAWA

PHOTOGRAPHS BY KOICHI HONDA

16.11.07 MON 17:00

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