創業60年の長岡銘竹の本社工房は、京都府大山崎町と亀岡市にあります。両市共に、粘土質な土壌と清らかな水源も持つ土地で、品質の良い竹が育ちます。昔から竹と繋がりが強い土地と呼ばれているそうです。
今回は、長岡銘竹が亀岡市内に構える工房にて「竹籠編み体験」を行います。
亀岡工房に入ってすぐ横には、たくさんの竹が並べられています。その中には見たこと無いような太い竹もあり、大迫力!竹には節が一本のものと二本のものがあり、種類によって異なります。竹にそんな違いがあったなんて!見慣れているつもりでしたが、今まで意識していませんでした。
京銘竹にはその他、甲羅のようにデコボコした(晒)亀甲竹や、表面に人工的に斑点をつけた胡麻竹などがあります。
長岡銘竹は竹垣を専門とする工房(会社)です。竹垣は元々お茶の文化とともに広まりました。昔から庭の仕切りや、目隠し、玄関のおもてなしなどに使われています。
一口に竹垣といっても、用途や装飾の方法などさまざまな種類があります。また、建仁寺垣や竜安寺垣などお寺によっても個性があるので、お寺を訪れた際はお寺ごとに違う竹垣を見ることが出来るのも、竹垣の楽しみ方のひとつ。
そして建仁寺垣や竜安寺垣はここ長岡名竹がつくりました。そんな中でも長岡銘竹が最も得意とするのが「竹枝穂垣」です。
竹枝穂垣の表面は枝の節の位置がきれいに揃えられ、内側は細い枝で模様が表現されています。きれいに揃えられた枝の節は、継いでいるのではなく、なんと一本の枝が上まで繋がっているそう。節が同じ位置にある枝を見つけることだけでも一苦労です!
竹垣のことを勉強したら、別の部屋に移動し竹籠編み体験を行います。体験では古くから伝わる「四海波籠」に挑戦します。
まずは竹をよく湿らします。竹は割れやすいため、水分を含ませることで柔らかくします。作業中も乾いたなと思ったらこまめに霧吹きをします。
8本ずつ交差した竹の端から4本を手に持ち、外側の竹が一番上にくるように4本を重ねます。
そしてその横の束の一番外側の4本を同じく重ねます。言葉にするととても簡単なようですが、竹は張りが強いので片方の手で竹の重ね順を整えていると、違うほうの竹の順番がずれてしまい、なかなか両手の束とも上手く重ねられません。
「竹のことを良く知らないと、竹は扱えない」と真下さん。竹を専門に扱う職人の高い技術が、竹に触れるとよくわかります。
次に手に持った竹同士を一度結びます。その状態で手を離し、他の束も同じように重ね、結んでいきます。この結び具合で籠のサイズが決まります。大きい籠の場合は緩めに、小さい籠の場合はきつめに結びます。真下さんと相談しながら調節していきます。
形が整ったら、飛び出した竹を本体に編んでいきます。まず、籠の底が上になるように手でもち、結んだ辺の右側の4本の束を左に流れるように本体の底部分へ編み込みます。4辺とも行うことで籠の底が丈夫になります。
次に結んだ辺の左側の束を、4本同じではなく、一番下の竹から底部分の格子状になった網目へと編み込んでいきます。一番上の竹がもっとも手前にくるよう、順番に竹を網目へと通します。最後に編み込んだ竹の余った部分をすべてカットして完成です。
今回体験を行った亀岡工房内の部屋は、たくさんの人に体験に来てほしいとリニューアルしたそうです。作業した机は京都デザイン賞2018で入選した竹でできた「Bamboo Desk」。その他にも長岡銘竹が竹垣の技術も用いて作られた商品たちが並んでいます。「竹を気軽に、そして身近に感じてもらえるものを作りたい」と商品開発にも挑戦しているそうです。
今まで竹垣はお寺や業者の人との取引が基本でしたが、真下さんは一般の人にもその魅力を届ける活動をされています。依頼しやすいデザインのリーフレットを作り直し、積極的に営業したことで一般のお客さんが増えたそう。家の目隠しや庭の仕切りなど、お寺だけではなく、一般の家でも竹垣は大活躍します!竹垣の美しさと役割がきちんと伝われば、たくさんの人が求めるはずです。
また海外にも竹垣を広めるため、真下さんはアメリカなどにある日本庭園へ出向き、竹垣を現地制作する活動も行っています。
竹垣の現地制作を行うことで、日本の本物の職人によるものづくりを海外の方も見ることができます。また、現地で制作した竹垣は定期的にメンテナンスを行うため、持続的な海外とのつながりが生まれ、それが次の世代へのバトンとなります。
2016年の初めての海外には体質が変わるほど緊張したという真下さんですが、今では世界を股に掛ける職人さんの代表です。
今回の体験で作った籠は、おやつを入れたり、アクセサリーを入れたりと、実用性が高いので、たくさん作って家でたくさん使いたい!また自分でも作りたいと思います。
皆さんも「竹籠編み体験」ぜひ挑戦してみてください!
長岡銘竹株式会社
亀岡工房:〒621-0005 京都府亀岡市保津町三ノ坪5
大山崎工房:〒618-0091 京都府乙訓郡大山崎町円明寺海道19
営業時間:8:30〜17:00
定休日:第2土、日
Tel: 075-925-5826
STUDIO
TEXT BY MARIE SAKIKAWA
PHOTOGRAPHS BY KUNIHIRO FUKUMORI
20.01.22 WED 18:20